運命考察2 死者達の誘い、死霊の守護、失踪等



 あまり関連のなさそうな運命がまとめて扱われているため、少々奇異に思われている方もおられるかもしれません。この章で扱っているのはある一つの共通点を持っている運命です。その共通点とは、「本当は存在していないかもしれない」ということです。

 たとえば、「死者たちの誘い」という運命であれば、死者の声とPCが思っているのは、本当はただの幻聴なのかもしれません。「死霊の守護」であれば、それは彼のトラウマが見せる幻影なのかもしれません。「失踪」したと思っている人物は、もしかしたら最初から存在すらしていないのかもしれないのです。

 この指摘には2つの意味があります。一つはもちろんバリエーションを増やすということですが、もうひとつは、他人から見た場合、運命がどう見えるかということに注意を払って欲しいということです。「死者たちの誘い」「死霊の守護」の2つは特にですが、運命というものはほとんどの場合他者から見て理解に苦しむものであり、もし不用意にそのことを表明したら精神を病んでいるとおもわれるのが当然であります。本人も自分の正気を疑っていることさえあるでしょう。
 このことさえわかっていれば、運命というものにたいする態度は自然と明らかになります。時折見かけるおかしなロールプレイに、自分の運命を軽々しくまわりにふれまわる、というものがありますが、前述の点さえ頭に入れておけばそんなことはおきないでしょう。

 もう二つだけつけ加えておくと、バリエーションとしてどこまでが幻でどこまでが真実かわからないというパターンもあります。この辺の事に関しては、山田太一の小説なんかにうまく描かれていますので、下記に参考文献としてあげておきます。
 もう一点は魔導師・呪い師といった魔法系のキャラの場合(特に原蛇・青龍)、魔法を使えると思い込んでいるだけ、という可能性もストーリーのバリエーションとしてあり得るということです。一回だけこの展開を使用した事がありますが、プレイヤーはかなりビビってました(笑)。


参考文献

異人達との夏
遠くの声を探して 共に著者山田太一 新潮文庫