運命考察8 魔法の力、呪われた出自等





 このシリーズの「はじめに」で私は運命というものをもっとロールプレイに活用すべきではないか?という趣旨のことを述べました。このシリーズの3「王者の相」4「無垢」5「運命の出会い(異性)」ではそういった論旨、つまり運命とその持ち主の人格等の関係について語りました。
 さて、今回表題に取り上げた運命はいずれも生まれつき何らかの特殊な超自然的能力を持っているという運命です。これらの運命についてもやはり持っている能力に人格・血筋等何らかの理由付けが必要であると考えるべきでしょうか?

 考え方は3つあります。一つはその運命の持ち主と運命がもたらす力は何の関係もないとする考え方です。基本ルールブック語り部の書収録のシナリオ雷鳴には[呪われた出自(雷鳴の猟犬の召還)]の運命を持つ少女が登場しますが、シナリオを読む限り彼女がこの運命を持つにいたった理由は見出すことは出来ません。最も一般的な考え方であり、たいていのマスターはこの意見を採用しています。たしかにたとえば死せる魂の守護者の6の位が[魔法の力(治癒)]を持っているのを人格・血筋等の設定と絡めて説明しようというのは多少困難でしょう。またこの考え方を採用する場合、自然とPCは自らの力を知らないか、もしくはつい最近知った、ということになります。なぜならば生まれつきの力であるなら、それが人格形成に影響してこないはずがないからです。
 さて、第1の考え方に対し、持っている力にやはりそれなりの説得力を求めるべきであるという考え方もあります。深淵の小説[丘の上の貴婦人]に登場する漂泊の戦姫ソニアは[魔法の力(破魔の瞳)]の持ち主ですが、それは彼女の血筋に関係するものであると劇中で語られており、また彼女自身その運命ふさわしい人格の持ち主でした。ストーリーラインにこの種の運命を絡めるならばこの考え方でやるのが一番楽です。この意見を採用する人が先の[魔法の力(治癒)]を持った死せる魂の守護者の6の位のようなキャラをやる時は、この運命は彼の残された良心の最後の顕現である、などといった説明をします。私などから見ると多少強引な説明の気もしますが、それはそれで美しいストーリーラインであるのは間違いないでしょう。
 最後の3番目は運命とそのPCの設定は同時性を持っているという考え方です。通火の魔道師が持っている[魔法の力(魅惑の瞳)]などは人格がその力をもたらしたのか?はたまたその逆なのか?ということを考えるのさえ愚かしい、あえていうなら同時発生的であるとしか言いようのないものです。

 いずれにせよこの種の運命とPCの設定をどこまで絡めるかはかなり裁量の幅があります。あえていうなら,もう一つの運命が弱い運命ならこの運命を設定に活用した方がいいということは言えます。またこの運命についてはPCが自分の力をしているか?知っているのならばいつどうやって知ったのか?の決定が重要であるということを忘れないでください。


(追記)上記の考察に従うならば、もし精神性が失われたら魔法の力は失われてしまう、ということになる。ストーリー展開の1ヴァリエーションとしてご一考いただきたい。