(於サークルR・P・G7月mission(定例会))

Game mastering & Written by :活性酸素

〜PC紹介〜

・ジェシー:歩兵(悲劇の予言、裏切りの予言)
かつて貧困生活のために、病気に侵された妻を失った歩兵。
今は残された娘のために傭兵まがいの仕事をしているが、そのために娘と過ごす時間が少なくなっているのもまた事実である。

・ウォーケン:風虎のまじない師(風の子供、深淵の召喚)
行方不明の師匠を探す風虎のまじない師。
戦争孤児だったが、魔法の素質を見込まれてある風虎のまじない師の弟子となり、風虎の魔法を学ぶ。師匠と一緒に“雷鳴の猟犬スパンダルキー”の召喚実験を行っていた際、深淵を開いてしまい、師匠は開いた深淵に飲み込まれて行方不明となる。それからというもの、自分の周りに常に深淵がまとわりつくようになってしまった。

・レノー・デ・シャティヨン:騎士(導く者の伝説…翼人、死者の誘い)
敵対するものには決して容赦しないという苛烈な性格の騎士。
数々の戦場で戦功を立てていたが、ある時に妖精騎士に出会い、翼人の星座を指し示される。それ以来、妖精騎士に認められることが真の騎士への道だと信じて、従者とともに流浪の旅へと出た。

・フォファーン:盗賊団(変わり者の親族、滅びた貴族の末裔)
幼い頃に滅ぼされた自分の家の復讐を誓う女盗賊。家が滅んだときに、父親を失っている。
魔族という化け物の研究をしている変わり者の叔父がおり、盗賊団の仕事がないときは、家を滅ぼされて無気力になってしまった両親から逃げるようにして叔父の家に入り浸っている。



〜本編〜

黒の青龍
熱意の生きられる場所は限られる。狂気こそ必要。


舞台は都市メジナ。
歩兵ジェシーは、口入れ屋の紹介で「死に掛けている夢占い師の遺品を弟子へ届ける」という依頼を引き受けます。
風虎のまじない師ウォーケンは、自分のの運命のせいで深淵へ落ちていき行方不明となった師匠を探すため、師匠の友人だという夢占い師を訪ねます。
騎士レノーは、かつて出会った妖精騎士に、真の騎士として認められるための試練を求めて夢占い師を訪ねます。
女盗賊フォファーンは、自分の家を滅ぼした敵の手がかりを得るため、夢占い師を訪ねます。
しかし、こうして集まったPCたちの前で「おまえたちの運命の鍵はこの札(赤い札)にある…」と言い残して瀕死の夢占い師は死んでしまいます。
その占い札のケースには翼人の星座の印。そして札に混じる不気味な真紅のカード…。
問いただそうとしても、既に夢占い師は事切れています。
PCたちは弟子が住んでいるという村へ向かいます。

街道を行く中、ウォーケンとフォファーンは、師匠と家が滅んだときに死んだ父が手招きしているのを見ます。ここでウォーケンは師匠の背後に美しい女性(実は鏡の公女エリシェ)がいるのを見ます。
そして夢の中で、ジェシー、ウォーケン、フォファーンには赤い札の「力が欲しくないか?」という誘惑が囁かれます。

【風虎のまじない師ウォーケンの夢歩き】

紫の指輪
愛する者よ。汝が死すとも、我が愛は永遠に変わらず。

GM:君は深淵の中にいる。君を包んでいるのは微かな波の音と、暗黒だけだ。…ふと、深淵の中を落下していく何かの姿が目に入る。君の師匠だ。
ウォーケン:「師匠!」と叫んで手を伸ばす。
GM:しかし君の手は届かない。もがいている間にも、師匠はどんどん落下していって見えなくなる。
ウォーケン:「師匠ーーーーっ!!」と涙を流して絶叫する。
GM:そうしていると、どこからか声が聞こえてくる。「力が欲しくないか…? お前の願いを叶えるための力が…」
ウォーケン:「欲しい! 俺に師匠を助けるための力をくれ!」
GM:では君の手の中に、どこからか真紅の占い札がすべりこむ。「お前は力を得た」という声が聞こえ、何かがニタリと笑ったような気がして意識が暗転する。では君にこれを上げよう(プレイヤーに真紅のカードを手渡す)。

レノーは、妖精騎士の「おまえが倒すべき敵(エリシェ&赤い札)はあそこにいる」という啓示を夢の中で受けます。
次の日、ウォーケンとフォファーンは再び師匠と父の幻影を見ます。

【女盗賊フォファーンの夢歩き】

黄の黒剣
望め! さすれば、混沌は形を得て、そこに生じる。

GM:君は自分の歩いている向こうに父親の姿を見た。家が滅んで死ぬ前の、若若しくて自信にあふれた父の姿だ。
フォファーン:駆け寄って抱きつきます。「父さん!」
GM:父親は微笑んで君を抱きしめる。「フォファーン、父さんはお前のところに帰ってこれそうなんだ。死の国からお前たちのところに帰ってこれるんだ」
フォファーン:「え? 本当なの、父さん?」
GM:父親はいつのまにか傍らにいた女性を示しつつ続ける。「この方が父さんをお前たちのところへ返してくださると言うんだ」


ジェシーとレノーにはフォファーンが何もない空間に向かって抱きついたりブツブツ言ったりするように見えます。ウォーケンは突如現れた女性と魔導師風の男のうち、魔導師に抱きついて会話を交わしています。
ウォーケンは、その女性の力を借りて深淵から戻ってこれたことを告げられ、「この方の下で一緒に暮らそう」と言われます。
そしてレノーはその女性──鏡の公女エリシェを見て直感します。「これは魔性だ。妖精騎士に示された倒すべき敵だ!」
レノーは突撃槍を構えてエリシェに攻めかかります。すると、赤い札が血の色をした四足歩行の獣になって襲い掛かります。
エリシェはフォファーンに幻視を見せ、彼女の家を滅ぼしたのはレノー(の家)だと囁きます。フォファーンは、半狂乱になってレノーに切りかかります。
師匠はジェシーに殴りかかられているエリシェを援護するために魔法を唱えていましたが、大槍に持ち替えたレノーの攻撃を受け、呪文詠唱中に絶命します。ウォーケンの周囲がビリビリと震え、深淵が開きます。
そして、師匠を止めようとしたウォーケンは、使用した魔法の反動でズタズタになった体を深淵に引き込まれて死亡。
血の色の魔獣はレノーに一撃で屠られます。
ジェシーにコンスタントに生命力を削られていたエリシェが狂乱し、深淵も開いているという状況に。
そこでその場にいた全員の脳裏に威厳のある男性の声が響きます。「エリシェ、お前の玩具は壊れた。ここは退くのだ…」。鏡の大公ルドラウが介入したのです。ルドラウの力で深淵は閉じ、エリシェも我を取り戻して撤退していきました。
赤い札は、いつのまにか忽然と消え失せていました。
フォファーンはその後、レノーと一騎討ちをし、殺されます。
ジェシーとレノーの2人は夢占い師の遺品を弟子に届けます。

そしてレノーに止めを刺されたフォファーンの薄れ行く意識に、何か呼びかけるものがありました。
「我は鏡。汝の過去を愛してあげよう」
(注:実は振り直しを一回した時に、「生き返った死者」の運命を引いた)
この後彼女がどうなったかは、また、別のお話。

The End....






〜背景〜

赤い札はエリシェの下僕(玩具)。古鏡の魔族、召喚値50、エリシェの下僕という設定。
かつてこの札を手に入れた、ウォーケンの師匠と夢占い師は、赤い札の誘惑を打ち破ろうと戦ったが、師匠はふとした隙に深淵に引き込まれ、夢占い師は赤い札の傀儡とされてしまった。




<GMの反省>

このセッションログを読んでいる皆様、初めまして。活性酸素と申します。四国は香川県高松市で深淵しております。
深淵のGM自体は5、6回していましたが、構造型しかしたことがなく、即興型は初めてでした。
このセッション、ネタはサプリメント「夢魔の占い札」から拝借しております。このサプリメント大好きなんですよ、私(笑)。
知らない方のために一応解説しますと、サプリメント「夢魔の占い札」ってのは、2001年7月時点での深淵の最新サプリメントでして、追加の運命やシナリオ、オプション運命カードを収録したものです。このセッションログ中に出てくる「真紅のカード」「赤い札」というのはこのオプション運命カードのことです(マジで背が真っ赤なんです)。
シナリオですが、ちょっとPC設定をまとめることができず、なんか大風呂敷を広げすぎた感じが有ります…反省。
テーマカード(黒の青龍 熱意の生きられる場所は限られる。狂気こそ必要。)もちょっと合わなかったかも(-_-;;)。
あと、実は歩兵のジェシーには「エリシェとの戦闘でエリシェに操られた(唆された)娘が現れ、父親をなじりながら攻撃してくる」という展開を用意していたのですが、風虎のまじない師ウォーケンの師匠に気を取られて、ころりと失念してしまいました。あう。
ま、「面白かった」と言ってもらえたのが救い…ですかね。
もっと精進すべし、ですな(ぐっ)。