深淵用シナリオ 「森」




1,仕様
 このシナリオはプレロールドキャラを使用しています、必ず以下の3人のキャラを用いてゲームを行ってください。

2,登場人物紹介

ローエン(少年のテンプレートのデーターを使用してください)
運命 王者の相・言えなかった一言
縁故 両親3、リーフ5

 彼の背中には4つ足の獣のあざがあります。彼は不幸な子供でした。生まれ持ったアザに対する村人の心ない詮索のせいで、家族も村人も彼を腫れ物に触るように扱いました。そんな環境の中で、彼は自分の空想の中にサティアという名の想像上の友達を作り、妄想の中で遊ぶような子供に育ってきました。
 しかし、1年ほど前から、その状況が変化しました。1年ほど前から村にやってきた、リーフと言う名の女性が彼を変えるきっかけとなったのです。彼女は村の協会で子供たちに文字の読み書きなどを教え始めたのですが、彼女はローエンに対し分け隔てなく接したのです。ローエンに取ってリーフは始めてアザの事を意にかえさず自然体で接してくれる人でした。またリーフをとうしてだんだんと他の子供たちからも友達が出来るようになりました。
 しかしこの幸せは長く続きませんでした。リーフが結婚して村をでて行く事になったのです。ローエンは裏切られたように感じました。彼はそのことを知ったとき村を飛出してきてしまいました。シナリオはここから始ります。  彼の言えなかった一言は「おめでとう先生、今までありがとう」です。

 ミリア (踊り子のデーターを使用してください)

 運命 魔族との遭遇 主人
 縁故 館の主人5 恋人(レイク)5、赤子(マルコ)5
ミリアが愛する恋人レイクのもとをさったのは今からちょうど1年前のことでした。ある日、彼女のもとにある時一人の執事風の男が訪ねてきてこう言ったのです。
「お前は愛する者の子供を身ごもっておる。しかしその子供は呪われし運命を持っておる。お前の子供は産まれてすぐに魔族ににえに捧げられるだろう。」 狼狽する彼女に男は幻を見せました(夢歩きです)、彼の愛する恋人が、魔族を召還し、将来生まれる子をにえに捧げる、そう言っている場面です。
更に男は言いました、「我が子を助けたくば、私に仕えよ。そうすれば、子は救われるだろう。」愛する恋人が魔族と縁があり、しかも自分との子をいけにえに捧げようとしている!、彼女の狼狽は相当なものであり、彼女にはその男の言うことに逆らうことはできませんでした。というのは、レイクには禁忌の魔道に手を染めているといううわさがあり、実際に彼女もレイクが魔道書のような本をもっているのを見たことがあったからです。
 こうして、ミリアはレイクのもとをさり、この不思議な男と彼が主人とする少年に仕え、彼ら2人の屋敷でメイドのような仕事を行うことになったのです。子供は無事、半年後に生まれました。生まれた日の夜、彼女と赤ん坊の元に黒い影のようなものが訪れましたが、彼女はその前後の記憶を失っています。
 それからは日々平穏に過ぎて行きました。そんなある日、館の主人である少年はこう言いました。「今から一人の少年がこの館を訪れる。そいつをてなづけて、信頼をかちとれ。私は病気の療養で静養中の貴族の息子と言う事にしておく。その後の事は追って伝える」
 彼女の行動指針は、何をおいても自分の子供のことを考えるのが第1です。レイクに対しては、彼女は強い疑惑を抱いています。

  レイク (原蛇の魔術師のデーターを使用してください)

運命 魔族との遭遇 失踪
縁故 基本+恋人(ミリア) 5

 彼の恋人が失踪してもう1年がすぎようとしています。彼は魔族の召喚に成功し、魔道の力を手に入れたのですが、彼女の失踪以来魔導の探求を棚上げして彼女の行方を探していますが、それは杳としてしれないままです。
 また彼は魔族を召喚した前後の記憶が欠落しており、そのことに不安を抱いています。
 この世界の魔道師は一般的な存在でなく、自分の素姓を隠しているものだということを念頭に置いてロールプレイしてください。幻蛇の魔道師と言うのは、召喚をつかさどる存在であり、ある意味魔道師たちの中で最も滅びに近い人種です。また、召喚の反動は常に生死を賭けるものであり、軽々しく魔道は行えるものでない、と言うことも念頭に置いてください。
 彼の行動指針は「なぜだ?」と言う言葉に集約されます。なぜ彼女は失踪したのか、何が魔族を召喚したときにあったのか、全てが彼にとって(そして彼にとってだけ)謎です。それを説き明かすように行動してください。あなたのPCには、自主的になぞをとこうとすることが要求されます。

3,導入

 導入の夢歩きは、各キャラの状況がよくわかるようなものにしてください。  最初のシーンはローエンが教室を飛出し、森に迷い込むところから始ります。泣きながら、森を走っている内夕刻になり、ローエンは今まで来た事も無い森の奥へ迷い込んでしまいました。そのうち雨が降り始め、ローエンは途方にくれてしまいました。
 その時、彼にあの空想の中の少年が語りかけます。リーフにあって以来1年ぶりの事でした。彼は「こっちにおいでよ・・・」とローエンを森の奥に誘います。するとそこには明々と明かりを灯した屋敷があります。屋敷に入ると執事風の男が「お待ちしておりました、どうぞお入りになっておくつろぎください」と彼を屋敷に招き入れます。
 その後、少年は(空想の少年との交差はごく自然に行ってください)ミリアをよび、ローエンを紹介します。ローエンに彼女はリーフに似ている、と伝えて下さい。
 そのあとすぐ、空想の少年(サティア)はミリアに夕食の支度をさせます。そこでの話でなんとかローエンがこの別荘にしばらくいるように話を進めてください。
 同時刻別荘をレイクが見かけます(彼女を捜す旅の途中です)、雨が降っていることでもあり、きっと一夜の宿を彼も求めることでしょう。

 4,本編

 この後の展開はいささか流動的になります。このパートで行って欲しいのは信頼関係を築くことです。とりわけローエンがミリアとサティアに対し、リーフの代りになれるぐらいの関係が築けるとベストです。
レイクに関しては、ミリアとの絡みがシナリオの生命線ですが、ミリアはサティアに何もしゃべるなと命令されており、口をつぐむしかありません。せいぜい3日まってくれと言うのが精一杯でしょう。サティアに対する不信感からおそらく何らかの調査を行うでしょう。
 具体的には以下のイベントをてきとうにばらまき、シナリオを進めてください。

   ミリアには以下のイベントを適宜起こしてください。

 ・サティアにローエンの背中のあざを確認するように言われる
 ・サティアにローエンの食事に薬を入れるように言われる。(レイクがこれを見ているというふうにするとグッド)
  ・サティアとローエンが遊んでいるのをみて自分の子のことについて思いに耽る。

   ローエンには以下のイベントを適宜起こしてください。

 ・サティアと遊ぶ
 ・村でいじめられた時のことを思い出す。

   他にもプレイヤーの行動次第でどんどんイベントを作っていってください。

 5,クライマックス(1)

 ある程度全員の関係が煮詰まったらクライマックスに入ります。
 サティアがミリアを呼出し、こう言います。「ローエンを手懐けるのには成功したか?」成功したと言うと、「では、ローエンを殺せ」と言い、ミリアにナイフをわたします。躊躇すると、「これを成せば…・」と言います。
 そしてサティアはミリアをローエンの部屋の前につれて行きます。

 この後どう状況が展開するかはプレイヤー次第でしょう。次の章に真相を書いておきますので、それを見て対処してください。

 6,真相

 サティアの正体は、不和の公爵サードナの下僕です。サードナはローエンの秘めた力を欲し、一計を案じました。
 まずローエンに接触し、ミリアと自分を信用させます。その後ミリアに手ひどく裏切らせ、落込んでいるローエンに「ぼくだけは君の味方だよ」と信用を得ようと言うことです。
 ミリアとサティアが信用を得るところまではうまく生きました、後は最後の仕上、と言うわけです。

 7,クライマックス(2)
 以下は、サードナの計画が完全にうまく言った時の展開です。

 ミリアがローエンの部屋を開け、彼に切りかかると、ローエンの体から光りが発せられミリアが弾きとばされます。ローエンにはミリアの目は村人が自分をきたないものを見るような目で見た時と同じ様に思えました。そこにサティアが飛込んできて、ミリアを刺します。そして震えているローエンのところへ行きこう言います。
 「やっぱり大人は裏切るんだ、君の親の様に、リーフの様に。そして彼女もやっぱりぼくたちを裏切った。ローエン、ぼくと一緒に行こう。ぼくと君は一緒だ。ぼくもずっと裏切られてきた。もう大人を信じて裏切られるのはいやだろう?だから一緒に行こうよ」
  そしてローエンとサティアが中庭に行くとサティアはこう言います。「ここでぼくとずっと一緒に遊んでいよう。でもその前に、裏切者に罰をあたえなくちゃね。」すると空が裂け、村のビジョンが移ります、そこにはリーフが居ます。サティアは「彼女が憎いだろう、彼女は君を裏切ったんだ。さあ、君の力を使い、彼女に罰をあたえよう」と言います。

 ここでローエンがサティアの言うとうりにリーフに向かって力を使うと、ビジョンの中の(そして現実の村でも)リーフの胸が裂け、彼女は息絶えます。

 そしてサードナは自分の庭に王の力をもった少年を飼うことに成功した、と言うことになるわけです。