縁故の喪失に関するハウスルールについて 



 予感の書のP53〜55に書かれている正規のルールでは、縁故を振った対象が失われた時PCは縁故分の寿命を失わねばならない、とされています。これは一見すると精神的衝撃を表現するルールとして、非常に妥当な処置であると思います。突然の肉親や友人の死というのはたしかに身を削る思いとして体験されるにふさわしいものでしょう。・・・しかしながら冷静に考えると、縁故を振った相手が失われるたびに寿命を失っていたのでは寿命など何年あっても足りません。
 また、深淵はストーリー性の強いゲームである、ということはどなたも異論は無いと思いますが、ストーリーのヴァリエーションとして、死に行く親しい者を看取る、というのは非常に良いモチーフの一つだと思います。親しい者が死に向かうとき、その人のために何ができるのか?というテーマは、非常に重く深いものであります。こういったことをテーマにしたセッションが成功したとき、それは忘れられないようなセッションになるでしょう。ただ、ここで問題になってくるのがあのルールなのです。つまりこういったセッションにおいては、縁故の対象を失うと即座にその分の推定寿命を失うという、いわば即物的なルールはそぐわないような気がするのです。むしろ別れが見事に行われた場合など、寿命が増えるケースすらあり得るような気もします。

どうやら、縁故の対象が失われた際に寿命が減る場合と減らない場合を想定したほうが、セッションがスムーズにいくだろうし、また世界設定上の整合性も取れているようなかんじです。そこでハウスルールとして以下のルールを提案したい、と思います。

<縁故の喪失による寿命の減少に関するルール (試案)>
・縁故を振っている対象が失われると、精神的衝撃を受けることによりその分の推定寿命が減少する
・上記のことは、十分に心の備えができており、納得して別れが迎えられたのであれば寿命が減少しない、ということを意味する
・縁故の対象を喪失したPCは以下の選択枝の中から一つを選び、実行する
1、縁故分の寿命を失う
2、寿命が1年増える
3、縁故の数値分の中からいくつかを"形見の品"、もしくは"〜の思い出"という縁故に移す、残り分は寿命を失う
4、縁故分の数値すべてを"〜の後悔"という縁故に移す

(解説)
 1は原作のルールそのままです。喪失が主題にならないときはこれを利用してください。
 2は縁故の喪失がシナリオの主題である時、そのセッションが完全にうまくいったときの選択肢です。
セッションの最後以外では使うべきではありません。
 3は2とおなじようにシナリオの主題が縁故の喪失であるセッションがある程度上手くいったとき、もしくはセッションの中盤においてある程度予想された別れが発生した時の選択肢です。次のとおなじようにこの場合は別れをどう納得するか、がこの後の主題になるでしょう。
 4はあからさまに別れを後悔している場合の選択肢です。シナリオの冒頭部で発生させ、その後の主題を別離の受け入れ、にする時に用いるといいでしょう。